Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

Entries from 2021-01-01 to 1 year

Quelle tuile ! Monsieur Macaron

フランスがフランスらしさを失った日 昨晩、大統領の演説でワクチン接種強化対策が報じられた。強化というよりも強制、実質上義務と変わりない。 迫る今月21日までに、職種によっては接種完了が義務付けられた以外にも、一般人でも接種を受けていない人達は…

Insomnie

夜更けの呟き ベッドに入っても珍しくまんじりともしない。とうとう居間の鳩時計が3回鳴るのが聞こえてきた。暫くソファーで読書でもして睡魔を待とうと起き上がる。 昨日は一日家に居て本の片付けをしていた。外を一歩も歩かなかったし、太陽も浴びなかっ…

Paris est une fête

夏のパリの夜の風物詩 涼しい7月の金曜の夜。 開け放った窓の外から、賑やかな人の声がする。どうやら向かいのアパルトマンで誰かがフェット (fête / パーティー) を開いているらしい。歌ったり、騒いだり、音楽を流したり。久々になんとも陽気なムード。楽…

Viana, la légende du bout du monde

映画 Viana の覚え書き (邦題 : モアナと伝説の海) 息子のヴァカンスに入った。 朝方、近所のスーパー Monoprix にずらりと並んだ夏休み用の問題集に混じって、ディズニーのムービーノートなるものを見つけた。小さい子供用かと思ったら、12〜99才向きとある…

Me perdre dans un passage

日曜の覚え書き パッサージュに足を運ぶ。 クラシカルな狭いアーケードは、パリの中でも特別な空間だ。19世紀の「何か」が、ガラス屋根のお陰で蒸発せずに漂っている感じがする。すっぽり包み込まれた空間は、雨風を知らない。お菓子に例えると、棒状のキャ…

Soirée Prosecco

土曜の覚え書き ソニアを呼び出し夜の一杯。 聞いて欲しいこと、聞きたいこと、いろいろあったので、ちょっとお喋り。 セーヌ沿いの開放感のあるカフェで、時刻は21時。空はまだ明るい。 お洒落なソニアは、週末だというのにいつものようにピシッとシックな…

Drôles de dames

マジックハンド、マジックアイ、テレパシー パリは菩提樹の黄色い花がむせるように香る季節。 息子が度々お世話になった耳鼻科のドクターが引退なさると聞いたので、近くに用事があったついでに花を持って会いに行った。選んだのは小ぶりの蘭の鉢植え。白に…

Son jardin extraordinaire

キャロリーヌの不思議な庭 今日、新しい花の名前をひとつ覚えた。 東京の友人がお茶の稽古の時に撮ったという写真に、床の間に活けられた青い花が写っていた。アガパンサスというのだそうだ。 花言葉は、「恋の訪れ」なのだとか。 ハッとした。 ちょうど数日…

Petite fête de la musique

夏至の日 フランスは音楽祭の日。 夕食の後、音楽を求めてふらりと外へ。せっかく今日から堂々と夏入りしたというのに、風は涼しく雲行きが怪しい。どうせ明日も息子の学校があって早起きなので、ほんの小一時間だけ散歩することにした。 ちょっとした広場に…

Maison hantée ?

オバケのはなし バスルームから出てきた息子が、何やら浮かない顔をしている。 どうしたの?と訊くと、「オバケがジュースをひっくり返して全部飲んじゃった」と恨めしそうにのたまう。オバケ? ははあ、さては浴槽の縁に置いていたジュースを倒して溢したの…

Fête des pères, tardivement

父の日に寄せて すっかり忘れていたけれど、日曜は日本もフランスも父の日だった。 夫は朝からそれとなく自己申告。 「今日は何の日だっけ?」 そう言えば と思い出したけれど、わざとしらばっくれる。 「何の日って?私の誕生日は冬ですけど?」 夫は苦笑い…

Trop bon

雲行きの怪しい土曜の午後。 息子がどこかに行きたいと言う。 散歩がてら話題の店に大福 mochi を買いに行って、帰りに大きな本屋に寄るというプランはどうかと提案すると、目を輝かせて二つ返事で乗ってきた。 6区の Maison du Mochi の前には行列が出来て…

Comme chaque année

初夏の風物詩 毎年6月後半といえば、来る9月の新学期に向けて、子供の学校や習い事など諸々の更新手続きの時期だ。ヴァカンス前の一作業といったところ。 フランス人というのは大変紙好きな民族で、例えそこに書き込む内容に全く変更がなくても、毎年大量に…

Dame blanche

選手交代 新しく炊飯用に注文した鍋が届いた。 これまで使っていた日本製の黒い土鍋とは一変して、フランス製の真っ白な鋳物ホーロー鍋。小ぶりの二合炊きサイズ。蓋が重いので炊飯にピッタリという訳だ。 プロット茸が手に入ったので、さっそくきのこご飯を…

Avant goût des vacances

パリはすっかり夏日。 今日も快晴。最高気温は一気に上がって33度。 ミイラ取りがミイラになるとはよく言ったもの。トーキョーの茹るような暑さと違い、夏日のパリはとにかくカラッカラに乾いている。日向でちょっとでもじっとしていようものなら、あっとい…

Merci ma chère Damme noire

今日も快晴、洗濯日和。 現在、パリの気温は、階を飛ばして一気に屋上を目指すエレベーターのごとく上昇中。 つい2週間ほど前までコートなんて羽織っていたのに、今週は30度を超える。例によって、パリが得意とする掌を返すような季節の変化。来る夏は猛暑に…

Bouquet final

薔薇もいよいよフィナーレ。 近所のキャロリーヌの家に向かう途中、通りかかったアパルトマンの庭に真っ赤な薔薇が咲いていた。これ以上赤いものはあり得ないようなヴィヴィッドな赤。私よりも背が高い長身の麗人。朝の光を受けて、誇り高くつくづく美しい。…

Green monster

ああもどかしや。 すぐ下の階に住む隣人の庭のサクランボが、日に日に赤く色付いていくのである。2階に住む私達の窓から手を伸ばせば、ちょうど届くに違いない高さなのである。 初夏と呼ぶに相応しい爽やかな今朝、客室の東側の窓のカーテンをさーっと開ける…

Vie antérieure ?

胡散臭い事を言うようだけれど、 もしも前世なんてものがあるとしたら、私はひょっとして以前にも一度、フランスで生きたことがあったのかも知れない なんて思う時がある。 それはどんな時かと言うと、例えば自分の名前を発音する時だ。 日本人として日本に…

Pensée du jour

常々思うのだけれど、どうして1週間は7日で、休みと言えば土曜と日曜で、その上、1日に3回も私達はごはんを食べるのだろう? 放っておいてもらえるなら、私の場合、月曜日は土曜日となんら変わりない。今も昔も徹夜なんてへっちゃらで、時計がなかったら私の…

Le goût de tuiles

思い出のチュイル 金曜の夕方は、息子を連れて図書館に行った。 ついでに、その近くに住む同郷の友、ユキさんに久々に電話してみることにした。ちょうど彼女のテレワークが終わる時間帯。よく晴れて気持ちの良い夕方なので、息子がマンガの棚で長居する間、…

Affaire mystérieuse

明け方に雨がどっさり降った。 豪華に雷も鳴った。遮光カーテンを突き抜けて、稲光が何度も寝室の白い壁を照らしたので、さすがの私も目が覚めてしまった。空があんまり号泣するので、気が付かずにはいられなかったという具合。時計を見るとまだ5時。 もうひ…

La vie en rose

人生は薔薇色かどうかについて まったく、人生は戦いだと思う。そう思わされる時がある。 百戦錬磨の騎士はカッコいい。でも、いつも戦っていたら疲れてしまう。だから、肩肘張った戦闘態勢はほどほどにしておかなくちゃ と、自分に言い聞かせるようにしてい…

Éclipse invisible

座る暇もないほど雑事に忙しい1日。 その上、息子が学校から持ち帰った連絡帳の不可解な一言が引っ掛かり、なにやら胸がざわざわして落ち着かない。そういう日もある。 今夜は皆既月食だから見るとよい と父が言う。朝のリレーならぬ、夜のリレー。東京で父…

Les garçons

5月は一番好きな月。 今年は雨がよく降るけれど、それでもメ ( Mai ) は夏への期待が昂まって、どうしたって気分は明るい。人々の頭がヴァカンスのことで一杯になり始める月だ。やがて6月にも入ると、パリの人々は心ここにあらずになる。体に先行して心がヴ…

Oh là là !

気まぐれな天気が続く。 一体いつからパリの空は日本の梅雨を真似るようになったのかしら?と思うくらい。 午後、近所に買い物に出た。 スーパーに入るまではピカピカに晴れていたのに、買い物を済ませて帰ろうとすると、外はどしゃ降り。ほんの少し雨宿りし…

Paris Paradis ?

5月19日 春先に予告された通り、長らく閉鎖されていたレストランやカフェ、ミュゼやシネマがやっと今日から再開した。何ヶ月ぶりだろう?半年以上閉まっていたのは確かだ。 最近は意識的に毎日ニュースを見聞きすることもしなくなった。現在に至るまで政府の…

Miss Hibiscus

ハイビスカスを眺めていて、今更のように気が付いた。 この花は芙蓉の仲間なのだ。 鮮やかな色のインパクトが強いので、今まで細部に目がいかなかったのだ。 花や萼の形、アイロンがけしていない木綿のちりめん布のような花びらの質感、中心に据えられた軸の…

Salade piémontaise

夫の料理 毎日違うものが食べたい夫。 違う国の、違う風味、違った材料に違った香りを日々求める。お皿の上の風景は、フランスからベトナム、北欧、インド、イタリア、日本、中国、カリブ海と忙しく世界中を飛び回る。レストランでテイクアウトを注文したり…

Thé à la mauve

例によって、1日の終わりのお遊び。 モーヴ (葵) の花のお茶というのを初めて淹れてみた。 ティーポットに熱湯を注いだ途端、一瞬ドキッとするような、とても自然の色とは思えないほどミステリアスな青になる。それからその色がみるみる醒めて、優しい紫を通…