Ma boîte à bijoux 日々のビジュー

パリでの日々、思ったこと

chaussette solitaire

覚え書き 夕方、乾いた洗濯物を畳んで仕舞うようにと息子に言うと、やる気こそなさそうなものの、珍しく「はーい」と素直な返事。その間にこちらは台所で夕食の支度を進める。 しばらくして見ると、物干しに乾いた靴下が一足だけ残っていた。どうしてこれだ…

Le Mont dore

オーヴェルニュ地方に来ている。 地図で見ると、フランスの真ん中のお腹のあたり。なだらかな山岳地帯。水と空気がおいしい土地。ソーセージとフロマージュの特産地。その他には、これと言って何にもないのが魅力の場所。 到着直後の3日間は素晴らしいお天…

Marcel après Marcel

昨日のマルセル 今日のマルセル 昨日、息子と一緒に、マルセル・パニヨルの小説を元にした新作映画、Le temps des secrets を観に行った。 南仏で過ごした自身の少年時代を描いた「マルセルの夏」は有名。今回の作品は、その続編の一つに当たる。 スクリーン…

Ce n’était pas une blague

冗談などではなかった。 本当に雪が降ったのだ。 ポワッソン・ダブリル (poisson d'avril / エイプリルフール) の日に。ほぼ一日中。 先週はせっかく気温が20度を越したというのに、今週は0度近い。これからどの季節に向かうところなのか、よく分からなくな…

Je suis une anglaise

イギリス人ごっこ 息子は学校に出かけ、夫は珍しく出張で、久々にひとりになった。 朝はしゃかりきになって書類仕事を済ませ、to do list に次々とチェックを入れ、ふと時計を見ると、もうお昼の時間を過ぎている。さて、今日は何を食べよう? こんな時、い…

l’ère bleue

青の時代 春が来て、放ったらかしの私のバルコニーにボリジの花が咲いた。 先月、土の中から赤ちゃんの手首くらいの太さの茎が逞しく伸びて、おやおやと思って観察していたら、産毛で覆われた葉を四方に勢いよく広げはじめ、そのうち、冠のような要領で頂き…

Allô ?

珍しく朝方に友人キャロリーヌから電話があった。 相談事の電話だった。 どうやら最近、気が動転するような出来事があったようだ。 コロナに罹ったことは既に伝えてあったので、礼儀正しくこちらの容態をしっかり伺った後、彼女の口からは、どっと洪水のよう…

Sept jours de repos

春うらら 我が家の居間には、東向きに大きな窓がある。 その窓辺には、ベンジャミンの鉢植えが置いてある。数年前、義理の姉のアンが引っ越し祝いに枝分けしてくれたものが、今ではすっかり大きくなった。 そして、このベンジャミンの鉢植えには、小さな可愛…

Après la pluie, encore la pluie ?

久々の記録 今日は木曜日。 月曜から、マスク着用の義務が解かれたついでに、衛生(ワクチン)パスポートの適用も「一時停止」となった。ユッピー! 喜び勇んで、改装されたばかりのホテル Lutetia の洒落たラウンジカフェで、友人ソニアとエスプレッソで乾杯…

Mardi effectivement un peu gras

3月1日 3月の最初の日。私はこの日を、勝手に「春一番の日」としている。私にとって意味のある日。毎年この日は家に花を飾る。 今年の3月1日は、ちょうどカトリック教のマルディ・グラに当たる。私流に訳せば、「こってりな火曜日」。なんでも、翌日の「灰の…

Pensée du dimanche matin

ピカピカに晴れた日曜日。 その上、息子は2週間のヴァカンスの真っ只中。 こんなに素晴らしくお天気だというのに、パパ似の彼は朝っぱらから長々とテレビにしがみ付こうとする。私の目には、人生の無駄遣いをしているようにしか映らない。表の世界のリアルな…

Disponibilité

この頃について 一番の優しさというのは、結局、フランス語で言う être disponible 、つまり、英語で言うところの be available でいてあげることなんだろうな と思うこの頃。それは簡単なようでいて、そう容易ではない事で、犠牲を必要としたりもする。 ど…

Comment ramasser des miettes

苦い記録 子供の頃に算数が苦手だった理由は、数字というものに温もりやストーリーを感じなかったから。算数は「冷たい」と思っていた。 でも、これくらいにの大人になってみると、自ずと数にまつわる個人的な思い出や逸話も増えようというもの。それで、今…

Rêverie

覚え書き 昨日の夢について。 私のパリでの数少ない同郷人の友、ユリさんは、昔「夢日記」なるものをつけていたそうだ。 日中、時々覗く某作家氏のブログに久々に目を通していたら、氏の住んでいるらしきカルチエの道の写真が載っていた。一角にモミの木があ…

Message for me

週末 まいにち朝から晩までずっと息子のことばかりで、自分の時間などこれっぽっちもなく、日曜の夜はさすがにぐったり。フラストレーションでつい不機嫌になった。ぶっきらぼうに「おやすみなさい」を言って、切り捨てるようにバタンと子供部屋のドアを閉め…

Tonight tonight

元旦に買ったピンクの百合が、溢れるように開花して目を楽しませてくれる。 香りもよい。 夜、息子とテレビの前のソファーに陣取って古典版 West side story を観た。 現在映画館でリニューアル版を上映しているので、それに合わせての私の提案。映画館に足…

Dans le train de retour

冬休み 印象と覚え書き 今年もノエルの休暇を南仏で過ごした。 滞在中はインターネットの恩恵をほとんど受けられず、帰りの特急電車の中でこれを書いている。 行きの車中は、息子がパパの携帯で制限なしのゲーム三昧となった。ふと目をやると、残酷非道極ま…

Sourire charitable

慈悲深いパン 夕刻の買い物帰り。 いつものブーランジェリーでバゲットを買い、まだ温かいそれを息子に持たせて坂道を登っていると、「なんだかこのパン、顔があるねぇ」とのたまう。覗き込むと、確かに。 紙袋からはみ出した頭を、ちょっと横に傾げている。…

Attaque !

さあ大変。 今日は朝から、片付けねばならぬアドミニストレーションの書類がごっそり! フランス語に「師走」という言葉はないけれど、年末はやはり何かと忙しい。そして私は、事務的な書類の処理というものが、大をいくつ付けても足りないくらい苦手なのだ…

Heure dorée

金色の朝 どうした星の巡りあわせなのか、インスピレーションが渾々と湧きあがる朝がある。 前日のメテオは悲観的に雨を告げていたのに、夜が明けてみると、黄金色の太陽が天からの贈り物のように光り輝く朝。そんな日に起こることが多い。グラスに注いだシ…

Les pierres dormants

それは、数日前のこと。 美術館と言うよりは、鉱石の標本室と呼んだ方が正しいようなミュゼに足を運んだ。 その場所は、カルチエラタンのとある大学の構内にひっそりとある。洒落た理科室のような場所で、古めかしくムードはあるけれど、いわゆる美術館と呼…

Plaisir d’hiver

朝の読書 ひょんな方法で読書の時間を見つけた。 週末の朝、いつもは温かいベッドでぐずっているところを、少し早起きしてみた。いつもであれば、起きるや否や台所に直行して、そのまま就業となるのだけれど、今朝は息子の朝食を用意してカウンターに並べた…

Cristallisation

自分への応援歌 ひとつ、夢を見た。 その後しばらく忘れていたら、不意に向こうから再び現れて、また夢見た。結晶化できるかなと思って心が高鳴ったけれど、触れられそうになったところで、それは再び遠ざかって潰えた。 きっとそういうものさ。 悲しんでい…

Galette orientale de Sonia

ソニアのガレット 先日のこと。 ガレットを焼くからお茶においでと誘われ、二つ返事で飛んで行った。 ガレットにもいろいろあるけれど、ソニアのそれは、スムールという粒の大きい小麦粉を練って作る、パンに似た「素朴なガレット」だと言う。昔童話で読んだ…

Anniversaire Chou-Fleur

カリフラワーのはなし 今朝、目を覚ますと、濃い霧に覆われた街が眠たげに霞んでいた。パリの霧は珍しい。 吐く息が白い季節になると、うちにも暖炉があったらいいのになぁと思う。 近所に住む義理の姉、アンの家には、ガラスの扉の付いた小さな暖炉がある。…

Une pièce, une pensée

よく晴れた月曜日。 秋休みが明けた今朝、息子は久々に学校に行った。 快晴の空とは裏腹に、月曜の朝、ことに新学期の月曜の朝の彼は憂鬱な面持ちだ。 息子に限らず、この週末に会ったソエルもジャッドも、マリーもエミリーも、みんな一様にして学校再開を嘆…

Parfum dans Le parfum

秋という季節に似合うもの、なぁんだ それは、香水。 木々は淋しく葉を落とし、緑萌え花薫る季節が遠のくと、最後は残された想像力の出番となる。香水は想像の花園への招待状だ。空気は冷たく、湿り気もなく、秋は香りの輪郭を捉え愉しむのにおあつらえ向き…

Voyage olfactif avec les enfants

子供たちの秋休みも終盤。 友人ソニアと、子供たちを連れて昼下がりのパリをそぞろ歩く。 オペラ座に近い19世紀のパッサージュを潜り、その中に並ぶショーウィンドウを眺め、それから、今回のお目当ての一つであるスパイスの店に入る。 大航海時代の香辛料へ…

Vie intérieure

もしも、 人の魂が何度も生まれ変わるのだとしたら、 今の姿になる以前は、いつ、どこに居たと思う? そんな他愛のない会話をしたのは、昨日の夕方のことだった。友と肩を並べ、教会の前の坂道を下りながらお喋りしていた時だ。雨上がりで、濡れた道に切り絵…

Confiture de Nostradamus

ジャムとノストラダムス 今日、ふとしたきっかけから知ったこと。 神秘のベールに包まれたあのノストラダムスが、かわいらしくも、なんとジャムに関する書籍を記していたこと。占星術師だとばかり思っていたら、お医者様でもあったこと。名前の印象から、勝…